あの日は真夏日にしては涼しい珍しい日だった。 いつも通り帰る支度をしていたら弘に、 ちょっといいかな? と声をかけられた。 奈々と一緒に帰る約束をしていたため、断ろうとしたけど、奈々が先に帰ると言った。 たぶん、私達の状況を悟ったんだと思う。 「…いいよ」 と弘に返事をした。 ここは教室。 当然人がいるわけで弘はなかなか言い出せそうになかった。 だから私は場所を変えようと弘に言った。 そしたら弘は何も言わずに頷いた。