「被害者の陽紀くんは、蒲公英園から家出をする計画をたて、親戚である菅原さんを頼ってここに来た。
で、駅前で飲酒運転でラリって暴走していた犯人に跳ねられ――死亡。
犯人はそのまま電信柱に当たってボン。
死亡ー…と。
間違いないね?」
「……」
もはや壊死した感情は、何も感じなかった。
コクりと頷くと悲しそうに笑う石橋さん。
「……市川の件は、ちゃんと本物の記者に言ったから。
明日には記事になる」
「…そう、ですか」
もう、どうでもいいや、そんなこと。
大きな存在がいきなり消えたのだ。
考えが追い付かないのし、これ以上の悲しみはないだろう――そう考えると、本当にどうでもよく思えた。
と。
「石橋ぃっ」
急に女の声が聞こえた。
「おう、アカネ」
石橋さんが手をあげた先を見ると、それはそれは綺麗な人が立っていた。
流れる黒髪は明かりに触れると赤茶っぽくなり、髪質が細いのかと推測がついた。
見た目は美人という感じだが、どこか妖艶であり、白衣が無駄に似合っている。
つかつかとこっちに歩みより、いきなり石橋さんを蹴った。
蹴った。
「うぉっ」
「あんたいつまでここにいんの!
被害者のケアは私の仕事だから、石橋は向こうに行ってろ」
しっしと追い払う仕草をして、俺らをちらりと一瞥する。



