「一つは、菅原が一方的に愛しすぎてるせいで、布留が気持ちに気づいてない。

わかりやすく言やあー、まだ自覚がない『好き』

恋の始まりみたいなもんだ」


面白くなさそうに顔が歪んだ、みい。


「もうひとつは、捕らわれてる。


過去と、未来に」


「捕らわれてる…?」


きょとんとした顔はどこか幼かった。


「昔な、菅原を頼むーみたいな感じで死んだものがいて。

で、布留はそれを律儀に守ってるわけ。

菅原は、布留に守られて当たり前だと想ってる。

私は布留に愛されてる、と。

愛されてるのが全て。


布留はそれに答えようとしてる。


気持ちもないのに。

意に沿うことが、守ることだと思って」




愛をいって、安心させ、捕らわれ、絡められて。



逃げれば待つのは『死』のみ。



…理不尽だ。



「…なに、それ」


予想外だったのか、驚愕の顔をした。


「じゃあ、陽紀くんは――」


「菅原が依存するのも当たり前。

菅原には布留しかねーんだもーん」


ちょっとおどけて言ってみた。