◇◇山本先生の保険日誌◇◇


ガラガラと保健室の扉が開く。

手作りサンドイッチを頬張っていた私は、ちらりとそちらに目を向けた。


「…お前」


みい、だった。


「ちっ」


突然の来客に戸惑う私を無視して、忌々しそうに舌打ちをし、ベッドにどかりと座る。


「なんだー?何かあったか?」


「何なの、あの幼女は!」


幼女…あぁ菅原千晶か。


「なに?アプローチに失敗した?」


クックと笑うと、殺気の隠った目で私をみてきた。


「大体、なんなのあの二人は?

あれはもう愛じゃない!

依存よ依存!」


「…ほぉー…」


いいこと言うな。


「確かに、愛じゃあないな」


うん、愛じゃない。

あの二人を結ぶものは、愛じゃない。


「じゃあなんでいるの!?

おかしい、縛り付けてるだけじゃない!」


ヒステリックに叫ぶ彼女を宥めるように、私はVサインをした。

指を二つ立て、探偵ごっこをしてみる。



「仮説は二つ」



「仮説…?」


ピク、眉が動いた。


興味を持っていただけたようだ。