愛すと殺すと

◇◇◇


その日は1日中変だった。

ことあるごとに、『みい』が話しかけてくるのだ。
『みい』こと美澤華恵は、教室内での人間関係を全部放棄する勢いで俺につきまとう。


「布留くん布留くん!」

「…はい?」

「一緒に移動教室行きませんか?」


「お断り」


こんな具合で。

さっきの会話だけで仲良くなれたと勘違いしてんのか?



この美澤華恵は、それだけ乏しい人間関係ではなかったはずだ。



こいつは何人か忘れたけどとにかくグループを作ってて、女子特有のベタベタっぷりで信頼しあってたはずだ。

その中には『帆音ちゃん』とも呼ばれてた飯嶋帆音もいる。たぶん。


…おかしい。


女子ってベタベタしてないと不安になって『あの子キモーイ』とか『あの子さけよー』とかになって孤立するはずじゃ…?

「うーむー…」

「何考えてるんですかあー?」

「千晶のこと」

嘘です、はい。
でも俺がさすがに『女子の人間関係を』とか言ったら引くだろうし。


我ながら上手い嘘をついた。


「…てゆーかさ、なんでついてきてんの?」

「たまたま会ったんです!」

「バカ言わないでくれない?」

いい加減ウザくなってきた。