愛すと殺すと


小さな声で言ったから、周りには聞こえてないだろう。


「怪我、大丈夫ですか?」


精神を逆なでるように言ってみる。

案の定、彼はふるふる震えて。


「ってめぇ!」


掴みかかろうとした彼に、表情をころりと変えて震えてみる。


「な、に…?」


「みいっ!」


帆音ちゃんが私の肩を抱く。


「浅間!みいが何したってゆーんだよ!」


クラスが私たちに注目する。

「何って、このおんな…」

「みいは今心配しただけでしょ!?そんなに恥ずかしい怪我なの?」

「それは…」

「みいに八つ当たりしないで!」


たまには役立つ化粧女の裏側で、私はほくそ笑む。

クラスが私に同情しているのがわかった。

「ありえない」

とか

「きも」

とか。


事情も知らない汚い人間が、浅間を傷つけていく。


「み、皆!私が心配したのが、浅間くんムカついたのかもしれないし…ね?そんな…可哀想だよ!」


追い打ちをかけるように、悲劇のヒロイン。

なんだか私に合った役回りな気がした。