「わかった。私が陽紀くんを欲しがる、本当のわけが」
がくん、と膝を折る。
ゆらりと視界が揺れ、海のそこみたいになる。
暖かいものが頬を伝い、小さい頃に泣いたときと重なった。
『バレちゃったかぁ』
「せんせ、わた…私、やっぱり……痛いよ…」
喉の奥が痙攣する。
ひっくひっくとダサい声を出してしまった。
でも、痙攣しようがなんだろうが――伝えたかった。
「擦るたび、血を出すたび、自分が汚く…て、辛いの、痛いの…」
こんなに辛いんだ。
汚い自分、汚い人間、汚い世界。
全部全部を私は嫌がってしまう。
「美澤、お前」
「わかってよ、ねぇ……」
なんでかって、そりゃあ私がキョゼデレだからだ。
拒絶しちゃうから、だから群れを俯瞰する。
たぶん、トラウマを治そうが何回抱かれようが。
これは治らない。
私の望みはえらく簡単で、至極小さく、とても尊いものだった。
陽紀くんが欲しいのは変わらない。
でも、ちょっと違うのだ。



