愛すと殺すと


「無理矢理聞くのもできない私にあんたを救えるとは思えねーよ。でも、お節介なんだよ私は」

遠い目をして。

「美澤の全部を救えるとは言わないから、せめて今の痛いのは救わせろ」

少女漫画の男の子みたいにかっこいい台詞だ。

「…よく、考えたらよー。強姦されかけて楽しくお食事なんて、無理な話だよな」

嬉しい台詞だが、私は目の前の救いが怖かった。

「どうすればいいかもわかんねーし……とにかく、もう二度と怖い思いはさせねーから。安心しろ、な?」

優しく諭してくれる彼女に、いきなり触れることはできない。

一歩離れた場所から群れを俯瞰し、交わってるふりして交わってなかった私には。

目の前の救いに、いきなり素直に救われるなんて無理だった。


パシッと手を振りほどき。

「…さわら、ないでよ」

消え入りそうな声で呟き。

「救いなんて求めてない!痛いのなんて、この気持ち悪い体が勝手に反応してるだけ!もういい…!もういいから……触らないで!」

ピンク色のスカートに、凍えそうな冬場。
室内は風をしのいでいたとはいえ、隙間からの気温が寒かった。

――なのに、男女だけは汗をかいていた。

ピンクのワンピースの向こう側。
私がみたのは、トラウマだった。