愛すと殺すと



だから、今回もたぶん先生は遠退く。


陽くんのいいエサが遠退くくらい、別に――



「ったく、お前さー。
プライベートぐらい保健室の先生やめさせろっての」



流しっぱなしだった水に腕を浸し、泡と血を払われた。


ぽんぽんとガーゼで優しく水気を拭き、消毒液を「うりうり」と楽しそうにぴゅうぴゅうかけられる。

くるくると包帯を巻いて。



「おぉ!完璧じゃねー?」



「何してんの?」

「あ?手当てだよ」

にやにやと嬉しそうに。


「怖くないの?引かないの?遠退かないの?」


なんで?

なんで先生は――


「私に構うわけは?」


わからなかった。

質問責めは幼稚だけど、仕方ない。

だって、不思議なんだ。



「構うわけはって言われても……別に他意があるわけじゃねーし」


可笑しいんだ、それじゃあ。



「汚いんだよ、人間は」



あんな行為で出来た、下等生物。


「裏に本能に忠実な汚いのを持っていて、世界は気持ち悪くてさ」


なのに。



「……先生、なんでそんなに」



綺麗なの――?