石鹸や血でぐちゃぐちゃの腕を、躊躇なしに。
暖かい手が、やけに染みた。
「せん、せ」
「血、なにこれ」
怒ったような声。
「手洗いにしちゃー、ちょっとやりすぎじゃねーか?」
「あ、の…」
水音がトイレの中にずっと響いている。
沈黙のせいで、音だけが大きく自己主張。
泣きたくなるような静寂。
「…はぁ」
先生のため息。
「座ってろ」
冷たくいい放って去っていった。
「……っ…」
バレたのは初めてじゃない。
当然、親にはバレてるし――中学生の時も一度バレた。
『何してんの?いたそ』
親はこれだけだったけど、担任にもバレた。
『美澤さん。これ……何かあったら私に相談するのよ?味方だからね、私は』
そう言った翌日に級友にバレた。
級友の反応は、最悪だった
『みいちゃん…何してるの?』
『うわ…気持ち悪っ』
『…痛くないの?』
『こいつ体中傷だらけだぜ!気持ち悪ぃな』
皆に言われ、遠退いていった。
べつにそんなことどうでもいいけど、群れで生きていくにはバレない必要があった。
担任に裏切られたのも嫌だったけど、最初から信用してないし。私。



