愛すと殺すと

「振っただけ」

「本当?」

「そう」


強姦、で思い出した。




――手、洗わなきゃ。




「…ちょっとトイレ行ってくる」

「あー、いってらいってら」


ばいばいと見送られ、トイレに。

腕を捲って水を蛇口いっぱいに出し、石鹸で腕を擦る。


本当は体中洗いたいけど、我慢しなきゃ。


あの男たちの油が、指紋が、手汗が、吐息がかかった体。

汚い汚い汚い汚い汚い。

全部全部が、汚い。


さっきのズボンは捨てよう。

帰ったらこの服も皆捨てよう。

汚いもんね、汚れたもんね。。


「…っ、ぅ……ぁあ…」


痛みで涙が出始めた。

でもまだ気がすまない。


汚い汚い汚い汚い汚い。


血が滲み、石鹸や水と混じってピンクになった。




ピンクのワンピース。




「……っ」


寒かった。


あの日はとても、寒くて。



ピンクのワンピースが嬉しくて。



「ぁ…」


『バレちゃったかぁ』


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


ピンクの舞うスカートの向こう側の景色を思い出し、吐き気が、




「何、してんの」




腕を、捕まれた。