愛すと殺すと

「なんか?」


ぴくりと眉が動く。

思い当たるふしでもあるのか。


…まぁ、恋愛感情じゃないだろうな。


でも揺れてる、もう少し…

「そ。

なんか…」


あ、嫌だ。

あの目を思い出して、靴を思い出した。


ぎゅう、と胸がプレスされたような痛み。


息が、しづらい。

パン早食い競争で詰まったときみたいに。


「…好き、なの?」


伺ってるような声が聞こえ、現にもどる。

喉にはパンも餅も希望も詰まってなかった。

「…うん」

「…応援してやろうか」


「えー?嘘は嫌いだよ?」


汚い人間も、嫌いだよ。


「本当に」


にやにやと魂胆ありげな笑い方をして、手を差し伸べてきた。


握手か?


「山本朱祢、協力してやっから」


汚い人間に触れたくない。

だから挨拶を拒むよりも効率的なことをしようと思った。



「美澤華恵。

『みい』って呼んで?

その呼称はバカ専用なの」


そう言うと、手を引っ込めて不服そうな顔をした。