「ふ、布留くんっ」
つい、関わりたくて。
一歩を踏み出してしまった。
昼休みが今始まったばかりだし、別にノートくらいいいかなと思って。
「なに」
そっけない真っ黒の瞳で聞かれた。
なんだろ、凄みそうになる。
でも、返してくれた、
「……ぇと、ノー「よーおー」
と、彼女の声。
「…あ、悪ぃ。あとでな?」
彼女の声が被ったせいか、あっさりとフラれてしまった。
おかしいなぁ、ノート、借りたかっただけ、なんだけどな。
「みぃっ」
化粧の匂いを無視して、考えに浸る。
あれ、なんか後ろ姿に傷ついてない?
喪失感、ぎゅうっと締め付けられたような痛み。
「あれ」
なのに、変だ。
喋れたことに嬉しいと思ってる自分がいる。
「帆音ちゃん、私おかしいの」
「なに?どーしたの?」
「…痛いの」
昨日自分の体を傷つけた時にはなかった痛み。
息するのも辛くて困難で、それでいて
ふわふわした、暖かい痛み。



