「やってやろうじゃん」
でなくちゃ千晶は壊れたままだ。
鳳紀の遺言でさえ守れなくなる。
守ってやらねば、女の子だから。
ベッドに近より、ゆっくり体を密着させる。
「ぃやっ…やめ…」
大きく震えるだけで抵抗はしない。
できないのだろう。
抵抗したら、殴られたから。
震える肩を抱き締めて、頭を俺に密着させる。
顔を見せたくなかった。
きっと千晶には俺が鳳紀にうつってるだろうから。
暖かくて、小さい千晶。
とてつもなく愛しくなった。
いつも接していたはずなのに、愛を自覚したとたんにこうなるとは。
そして、肩と頭を撫でた。
ゆっくり、ゆっくり。
千晶がまどろむように、
千晶が眠れるように、
千晶がまた笑うように――
ピクン、千晶が跳ねた気がした。
治ったのだろうか。
でも、まだもう少しだけ千晶に触れたかったから。
千晶の生きてる熱を欲しかったから。
もしかしたら死ぬのかもしれない。
だから、あともう少しだけ。