「好、き?」




なんでなのかわからない。


だけど、千晶のことを話そうと思ったら。


あり得ないくらい話したいことがたくさんあって。


自然と、どんどん言葉が口から出ていった。



今まで話すなんてなかった。



外との交流なんてほぼなかったし、あったとしても美澤か先生。


本当に話す機会なんかなくて、初めてだった。こんなの。




ぶわっと、笑う千晶や甘える千晶。

髪質や香りまで。


全部全部伝えたい――体中がそう反応した。


「あれ?違ぇの?

あんなに嬉しそうに話すなんてビックリだぜ」


そう。

おれでも驚いた。


「あの…これって…好き?なんですかね?」


藁でもすがる思いで問いただす。

俺はよくわからない。


ただ、ぶわっと出てきたこれを説明してくれるのは、彼ぐらいだ。