あとで説明しないと、創ちゃんに誤解されちゃうよ。

 ――入学式が終わり、もう一度父兄席を見ると創ちゃんとお兄ちゃんの姿はなかった。

 講堂を出て一年生の教室に入っても、私はソワソワと落ち着かない。

 創ちゃん、きっと怒ったんだ。
 どうしよう……。

 初めてのホームルームが終わり、教室を出た私は、すぐにブレザーのポケットから携帯電話を取り出す。

「南、入学おめでとう!」

「山梨《やまなし》先輩! 一橋《ひとつばし》先輩!」

 振り向くと中学校の先輩が、笑顔で立っていた。山梨颯《やまなしそう》、元サッカー部キャプテン。一橋蓮《ひとつばしれん》、元生徒会長だ。

「先輩、お久しぶりです。どうされたんですか?」

「南がフローラに入学したって後輩から聞いたから、一橋と逢いに来たんだ」

「私に……わざわざ?」

「うん、南、久しぶりだね。中学の制服も似合ってたけど、高校の制服も凄く似合ってる」

「ありがとうございます」

「南とまた同じ高校になれて嬉しいよ」

 二人の先輩はにこにこ笑いながら私を見つめた。私は途中まで打っていた文字を消そうとして、間違えて送信してしまった。

 LINEには【創ちゃん、今日はありがとう。桐生君とは】までしか打っていない。

 わ、わ、わ、大変だ!
 こんな文章を送ったら、創ちゃんも疑うよね。

 どうしよう……。