【創side】

「なぁ、創。キャンプ行かね?」

 大学のカフェテラス。
 例の如く、敏樹の一声で俺の妄想は動き出す。

「明日から夏休みだし、今年は山にしようしようぜ?」

「山か……?」

「おう。今年は山だ」

 なーんだ、礼奈の水着姿が見れないだろう。
 それ、超退屈。

「キャンプ場の近くに、屋内プールがあるんだよ。山もプールも満喫出来るんだ」

「うわ、屋内プール!? 行く行く」

「じゃあ、いつものメンバーで。俺と美貴と、良介と妃乃。創と礼奈はオマケな」

「ぐっ……俺達はオマケかよ。敏樹、テントは三つ用意しろよ」

「三つ? なんでだ? 荷物増やしたくねーよ。男用と女用、二つで足りるだろ」

「あほ、お前と良介が二つとも占領するだろ。俺と礼奈は野宿かよ。熊に襲われたらどうすんだよ」

「お前らはオマケだからな。狭いテントで二人きりにしたら、お前が熊になっちまうだろ。それに俺の両親がそんなこと許さねーよ」

「お前も同じだろ」

「俺達は大学生同士。礼奈はまだ女子高生。下心があるなら、尚更、テントはナシだな」

 くそ、どんなに反対されても、俺は絶対にテントを持って行くからな。俺と礼奈専用のテントだ。

 ビデオ店でバイトして貯金もできた。
 テントくらい、自腹で買ってやる。

 ◇

 ―キャンプ当日―

 首都高速を走ること二時間。車中はいつもながら賑やかだ。

「みんなでキャンプなんて嬉しいな。ねーねー、創ちゃん自分でテント買ったんだって? 二人とももう深い関係なんだ。礼奈ちゃんも花の女子高生だし、当然だよね」

 妃乃ちゃんは相変わらず空気が読めない。
 しかも山でキャンプするのに、今日も露出度が多いキャミソールだ。

 よほどやぶ蚊に献血したいらしい。

 惜し気もなく曝す豊満なバストの深い谷間。良介は他の男に見られても平気なのかな?

 俺なら絶対にNGだ。

 礼奈の豊満なバストを、他人に見せるなんてあり得ない。