「百合野、全部知った上でそのリングを?」
「そうでもしないと、桐生君がブクブク沸騰しちゃうでしょう」
「沸騰……」
「礼奈は誰にでも優しいから、桐生君みたいなタイプは勘違いするのよ。『もしかしてまだチャンス残ってる?』みたいにね。そんなものは、微塵も残ってないってとこを見せないとダメだよ」
「百合野……」
「それにここだけの話、私は桐生君のこと嫌いじゃないし。イケメンだしスポーツ万能だし、勉強も出来るしね。落とす価値は十分あるよね。桐生君が礼奈と付き合ってたわけじゃないし、私はそういうの気にしないから。これを機にゲットします」
流石……百合野だ。
素直に感謝していいのか迷ってしまうくらい策士だし、私の想像を遥かに超えている。
◇
あの日から、嘘つき狼君に最強彼女が出来た。
まるで何かの弱味を握られているみたいに、桐生君は否定もせず百合野の言いなりだ。
数日は苦虫を噛み潰したような顔をしていた桐生君が、日に日に顔付きが穏やかになっていった。
不思議だね。
女子のパワーって凄いんだ。
特に百合野は最強だね。
桐生君といつの間にかクラス公認のカレカノになった。
一ヶ月後、桐生君が私にポツリと言った。
「あのさ、山本を傷付けたくないから。あのリングは山本の誕生日プレゼントだったことにしてくれない。それと……今までのことも、山本には内緒にして欲しいんだ。山本はヤキモチを妬くと超怖いからさ」
あの桐生君が今は百合野の意のままに動いている。
「あのリングは初めから百合野へのプレゼントだったんだよね」
「……南、今まで本当にごめん。ありがとう感謝するよ」
嘘つきな狼君。
百合野に嘘を見抜かれてるとは知らず、百合野との関係を壊さないように、噓を吐き通そうとするなんて意外と可愛いんだから。
「そうでもしないと、桐生君がブクブク沸騰しちゃうでしょう」
「沸騰……」
「礼奈は誰にでも優しいから、桐生君みたいなタイプは勘違いするのよ。『もしかしてまだチャンス残ってる?』みたいにね。そんなものは、微塵も残ってないってとこを見せないとダメだよ」
「百合野……」
「それにここだけの話、私は桐生君のこと嫌いじゃないし。イケメンだしスポーツ万能だし、勉強も出来るしね。落とす価値は十分あるよね。桐生君が礼奈と付き合ってたわけじゃないし、私はそういうの気にしないから。これを機にゲットします」
流石……百合野だ。
素直に感謝していいのか迷ってしまうくらい策士だし、私の想像を遥かに超えている。
◇
あの日から、嘘つき狼君に最強彼女が出来た。
まるで何かの弱味を握られているみたいに、桐生君は否定もせず百合野の言いなりだ。
数日は苦虫を噛み潰したような顔をしていた桐生君が、日に日に顔付きが穏やかになっていった。
不思議だね。
女子のパワーって凄いんだ。
特に百合野は最強だね。
桐生君といつの間にかクラス公認のカレカノになった。
一ヶ月後、桐生君が私にポツリと言った。
「あのさ、山本を傷付けたくないから。あのリングは山本の誕生日プレゼントだったことにしてくれない。それと……今までのことも、山本には内緒にして欲しいんだ。山本はヤキモチを妬くと超怖いからさ」
あの桐生君が今は百合野の意のままに動いている。
「あのリングは初めから百合野へのプレゼントだったんだよね」
「……南、今まで本当にごめん。ありがとう感謝するよ」
嘘つきな狼君。
百合野に嘘を見抜かれてるとは知らず、百合野との関係を壊さないように、噓を吐き通そうとするなんて意外と可愛いんだから。