「こんばんは」

「いらっしゃいませ。君はサッカー部の……」

「サッカー部はもう辞めました。あなたに言われて、彼に告白しました。ずっと気持ちを抑えていたから、胸のモヤモヤが晴れてスッキリしました。ありがとうございました」

「マネージャーを辞めて、後悔してない?」

「してません。彼……私のことバカだって」

「バカ?」

「はい。でもその言い方が、以前とは違って優しくて……」

「そっか」

「今日、彼が家まで送ってくれたんです。久しぶりに素直に話ができました」

「そっか。彼に君の気持ちが通じたんだね。よかった」

「本当にありがとうございました。これもあなたと南さんのお陰です。彼女、純粋で一生懸命で、可愛い女性ですね。私も彼女みたいに可愛くなりたい」

「君は今のままで、十分可愛いよ」

「あ、ありがとうございます。仕事中お邪魔してすみません。失礼します」

 わざわざ俺にお礼を言いに来るなんて、可愛いな。

 彼女の恋が上手くいくといいな。
 俺のライバルが、これで一人消えた。

 まて、ライバル?
 俺は礼奈の彼氏なんだから、ライバルは一人もいないはずだ。

 それなのに、最近焦りを感じるんだよな。
 高校生のパワーは凄い。あいつらガンガン飛ばしすぎなんだよ。

 上着のポケットから携帯電話を取り出し、礼奈にLINEを送る。

【礼奈、大好きだよ。】

 ガハッ……。
 照れるな。