【桐生君のショップに行くことになりました。】

 送信。

 創ちゃんにLINEを送り、桐生君と一緒に電車で原宿に向かった。

 深い意味なんてない。
 ただ、新入荷のアクセサリーが見たかっただけ。

「ファッション雑誌VIAに掲載されてるアクセサリーも入荷したんだ。超可愛いんだよ」

「VIAに掲載されたの? きゃは、ドキドキしちゃう」

「だろ? 絶対に南に似合うと思う」

 電車の中でもアクセサリーの話で盛り上がる私達。VIAに掲載された商品を見たらすぐに帰るつもりだった。

 ◇

 ―原宿―

 桐生君の父親が経営するアクセサリーショップのシャッターは閉まっていた。

「あれ?」

「今日は定休日なんだ。裏口から入って」

「定休日なのに、悪いよ」

「いいの、いいの。俺が誘ったんだし。ショップのスペアキーなら持ってるから」

 桐生君はショップの裏口のドアに鍵を差し込み私を招き入れた。照明のスイッチを入れると、いつも目にする店内だ。

「南、これがVIAに掲載されてる商品だよ」

 桐生君が見せてくれたのは、K18にローズアメジストのついたリングと、ゴールドのチェーンリング。

「わあ、素敵。でも高そうだね」

「ちょっと高校生には高いかも。でもこっちは値段的にお手頃なんだよ」

 桐生君はシルバーとターコイズカラーのビーズネックレスを、手に取って見せてくれた。

「雑誌に載るだけあるね。全部可愛い。桐生君、定休日なのに商品を見せてくれてありがとう。勝手にお店に入ってお父さんに叱られない?」

「平気だよ。それに雑誌に掲載された商品は、すぐに売れちゃうし。明日の夕方にはもう完売してるかもしれないしね」

「そっか。可愛いからわかる」

 桐生君がピンクの可愛いケースを差し出した。

「これ、南に」

「私に?」

「昨日自分で買ったから大丈夫だよ」

 ピンクのケースの中身は、この間創ちゃんと見たピンク色のストーンがついたシルバーのリングだった。

「それ、この前、気にいってたから」