「君は一国の王女なんだ。 自覚し給え。僕だって、君なんかと結婚などしたくないさ。 こっちにも愛している娘はいたんだ。 だが、立場というものがあるだろう。 政略結婚とは、そういうものじゃないか!?」 王子は感極まって息を詰まらせ、ふいに冷静さを取り戻すと、コホンと小さく咳払いした。 「君は、魔王にさらわれた事になっている。 苦肉の策だ。 我が国と、君の国の名誉を傷つけないための。 ―――――帰るね!?」 王子の言葉に、姫はガックリとうなだれた。 「―――分かったわ」 <完>