気が付くと、目の前にトロールがいた。頭の悪そうな顔をしてはいるが、その巨大な身体だ。いつ喰われてもおかしくない。一歩後ろに下がると、カランと音がした。骨だ。そう、今までの娘達の骨が、無造作にもそこここに転がっていたのだ。山の頂上に。
 エアリエルは一言も言葉を発しなかった。その姿からは、恐怖も絶望も哀しみも感じられなかった。