キスで結ぶ赤い糸



「愛華ちゃんに感謝しなよ」


ピタリと足を止めて響の鼻先に人差し指を突きつければ、ホッと安堵の溜息を吐き出した響。



「心しておく」

「そうして」



ホント甘いよね、私って。


固い声色で返事した響にハァと深い溜め息をつくと、再び歩みを進めた。


一方響はと言うと、長い足を嫌味ったらしくフル活用してご機嫌顔で私の隣に並ぶ。



なんだかなぁ……。



普段はドーベルマンのように警戒心剥き出しなのに、愛華ちゃんの事になるとまるで子犬のように可愛らしくなる響。


そんな響を見てるといつも思う。

本当に愛華ちゃんの事が好きなんだなって。





“愛華ちゃん”


なんて友達みたいに呼んでいるけれど、実は私より5つ年上の大人の女性で。

しかも彼女はウチの学校の養護教諭だったりする。


そして、響の最愛の人。


今は“養護教授”と“生徒”といういかにも女子高生が好きそうな禁断の関係だけど、二人が付き合い始めた頃は大学生と高校生という至って普通の関係だった。


当初、大学生だった愛華ちゃんは近所のコンビ二でアルバイトをしていて、その時、一目惚れをした響が毎日のようにコンビニに通い、猛アタック。


響のうっとおしい……いや、熱烈なアタックに根負けた愛華ちゃんは白旗を挙げ、今では顔を背けたくなる程のイチャイチャぶりを披露している。


と言っても、私以外の前では至って普通なんだけど。


ううん。下手すれば互いに興味無しとも言える態度で接しているかもしれない。