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「じゃあ華恋ちゃん、あとよろしく頼むね?」

「うん。鍵はちゃんと返しておくから。ごめんね、無理言って」

「何言ってるの!最後ぐらい華恋ちゃんの役に立たせて。華恋ちゃんには長い間お世話になったんだから」



本当にありがとう、と満面の笑みでお礼を言った愛華ちゃんは、私に保健室の鍵を手渡した後、手を振りながら保健室を出ていった。



「……愛華ちゃん、お幸せに」


扉の向こうに消えていった愛華ちゃんに、心を込めてそう呟く。







今日は、私たち三年生の卒業の日。


一年前からずっとずっと心待ちにしていた日。



けど、いざ卒業式の日になるとものすごく寂しくて。


普段人前では泣かない私だけど、卒業式では大泣きしてしまった。



「……あーあ、顔ボロボロ」


案の定、泣き過ぎて目は真っ赤に。


とてもじゃないけど直視出来ない。



こんな顔で誉くんに逢うのは嫌だったけど、仕方ないよね。



誉くんは私が大泣きしてるの見てただろうからきっと大丈夫。