キスで結ぶ赤い糸



「誉くん、人気者だからちょっと妬ける……」


ううん。ちょっとどころかかなり妬ける。


今みたいな顔、誰にも見せて欲しくないよ。





「華恋ちゃん……」



膨れっ面を見られたくなくてふいっと顔を逸らせば、不意に離された手。


急に離された手に驚いて再度誉くんの方へ向くと、ふわり、大きな手に両頬を包まれた。



「誉く……?」



すぐ目の前にある誉くんの端整な顔に息が詰まる。




「信じて。俺には華恋ちゃんだけだから」

「……っ、」

「華恋ちゃんのことだけが、好きだから」

「……誉くん」



誉くんの口から初めて告げられた言葉。


切なさの籠った掠れた声色がじんわりと胸に響いて、波紋のように広がっていく。



「……うん。信じてる。誉くんのこと、信じてる。だから、私のことも信じて」



──私も、誉くんのことだけが好き。



そう、小さく囁けば、嬉しそうに目を細めた誉くんがそっと距離を詰めてきて。


コツン。


誉くんの額が私の額に当たった。