あの、時……。
思い出すのは公園での出来事。
あの時の、誉くんの言葉。
「華恋ちゃんには立派な弁護士になって欲しい」
「誉くん……」
「だから、俺が傍にいちゃ駄目だって思った」
「ほま……ゴホッゴホッ」
「華恋ちゃん」
咳込む私に伸ばされた誉くんの左手。
その手は私の前髪を掻き上げ、そのまま頭を優しく撫でる。
心地良いその温もりに、段々と呼吸が落ち着いていった。
「──女の子だって、思ってたよ」
……え?
「初めて会った時から、女の子としか見てなかった」
「誉、くん……」
フッと切なげに落とされたその笑顔に、胸がきゅうと締め付けられる。
「“あの日”」
「……あの、日?」
「そう。あの日。華恋ちゃんが好きだって言ってくれた日」
「……あ」
誉くんの言う“あの日”がなんだか分かって、顔に熱がカァと集まっていく。
「あの時、おばさんから声が呼ばれなかったら。おじさんに送って貰ってなかったら。俺は、華恋ちゃんの気持ちに応えてた」
「……っ、誉くん、」
う、そ……。本当?


