「……っ、ゴホッ、ゴホッ……」
「せ、先生!立川さん具合悪そうなので保健室つれて行っても良いですか!?」
「立川さん?……あら、本当。顔真っ青じゃない。前山さん、連れて行ってあげて」
「ありがとうございます!私一人じゃ支えきれないかもしれないので山原さんも良いですか?」
「ええ、良いわよ」
吏架子と先生のやり取りですら上手く理解出来ていなかった私は、
「華恋、大丈夫?立てる?」
体を支えてくれようとする二人を見て初めて保健室に連れて行ってくれるんだと理解した。
「保健室、行こう」
吏架子の言葉に小さく頷き、二人に支えられながら教室を出る。
「華恋、頑張って」
「……ごめっ」
「大丈夫大丈夫」
熱のせいか、思うように足に力が入らない。
そのせいで二人に負担が掛かり、苦しい思いをさせてしまっていた。
「男子、連れてきた方が良かったかもね」
「確かに。ごめんね、華恋ちゃん。しんどいよね?」
「だ、いじょうぶ。……私こそ、ごめ、ゴホッ、ゴホッ……!」
「華恋!」
足が止まり、その場に蹲るようにして咳む。
移さないようにとつけているマスクが息苦しくて仕方ない。
あぁ、もう駄目だ。頭がクラクラしてきた。
……限界。
そう思った時だった。
──ガラッ。
虚ろな意識の中、耳に入ってきたのは扉の音。
そして。
「どうかしたんですか?……って、華恋ちゃん!?」
大好きな人の、声。