「華恋、大丈夫?」

「……うん、大丈夫。あと一時間だもん」

「しんどくなったら言ってね?」

「うん、ありがとう」

「……ったく、雨の中傘も差さずに帰るとかホント馬鹿なんだから!」

「……うっ」



そう。

昨日、帰ろうとしたら運悪く夕立がきて、傘を持ってなかった私は気分が沈んでたこともあってか、“どうにでもなれ!”と投げやりな気持ちで土砂降りの中歩いて帰った。


案の定風邪を引いてしまった私は朝からダウン。


迎えに来てくれた響に頭ごなしに怒られ、「休め」と言われたけれど、「今日は必須教科があるから行く」と言い張った。


十分ほど押し問答を繰り返した結果、響が折れて私の勝利。


学校に行くと響同様、吏架子とみっちゃんにも怒られたけど、なんだかんだで心配してくれて。

お陰で何とか五限まで持ち堪えることが出来た。


けれど、正直もう限界かもしれない。


「ゴホッ、ゴホッ……」


咳とくしゃみが止まらず、頭までボーッとしてきた。


もしかしたら熱が出てきたのかもしれない。


でも、あと一時間で終わるんだ。今更早退なんかしたくない。