「先生先生、放課後、数学教官室に勉強しに行ってもいいー?」
「あ、ズルいー。あたしもー」
───ズキン。
誉くんを追い掛けると必ずついてくる女の子たちの可愛いらしい甘えた声。
彼女たちの声を聞くたび胸が苦しくなって、泣きたくなる。
それでも誉くんを追い掛けることは止められなかった。
「華恋、行くぞ」
「……っ、響?」
……いつの間に、隣に?
聞きなれた声に俯いていた顔を上げれば、すぐ真横に響がいて。
さっき保健室に行ったところなのになんでこんな所にいるんだろうと不思議に思った。
「愛華、いなかったから」
まるで私の心の声が聞こえていたかのようにそう答えてくれた響に、成る程、と心の中で納得する。
立ち止まっていた足を再び動かそうとしていた、その時。
「ちょ、響!?」
スッと身を寄せてきた響が私の右肩をそっと抱き寄せた。