「華恋、ちゃん?」
「………っ」
誉くんの驚いた顔に恥ずかしさが一気に込み上げてきて、顔を隠すように俯いた。
……熱い。熱い熱い熱い。
顔が熱すぎて、どうにかなってしまいそう。
発火しそうなほど熱くなった両頬と早鐘のように波打つ鼓動。
両方同時に私を襲って、息が止まりそうになる。
もう、恥ずかしすぎて顔なんて上げられないよ。
「………」
「………」
カチカチカチと静かな空間に響く秒針の音。
流れる沈黙がどうしようもなく私の不安を煽って、火照った熱を少しずつ吸い取っていく。
誉くんからの返事はまだない。
沈黙だけが静かに過ぎ去っていくだけ。
……やっぱり、駄目だった?
私はもう誉くんの傍にはいられない?
“女”だと、思って貰えない?
「………っ」
……もう、私は誉くんに逢えないんだ。
そう、心の中で落胆した時。
「華恋ちゃん、こっち向いて?」
頭上から落とされたのは、いつもと変わらない優しい声。