あれから、響は自分の家に帰り、私と誉くんは私の家に帰った。
私が着替えをしている間誉くんはお母さんとお喋りをして、その後いつも通り勉強を始める。
狭い空間で二人っきり。
二年間続けてきたけどそれだけはやっぱり慣れなくて。
特に今日は授業が終わったら告白するから余計に緊張していた。
けど、今日は最後の授業。
この部屋でもう誉くんと二人っきりで勉強することはない。
ううん。誉くんが私の告白にOKしてくれればまた一緒に勉強が出来るかもしれない。
でも、“家庭教師”と“生徒”の関係は今日で終わり。
だから、一言一句聞き逃すまいと今まで以上に集中した。
「華恋ちゃん、今日は凄い集中力だね。答えも合ってるし。さすが華恋ちゃん」
「あ、ありがとう」
そのお陰なのか、誉くんが褒めてくれて気分は上々。
さっきまで緊張感が嘘のようにほぐれていく。
「じゃあ今日でこれでお終いにしよっか」
「……っ」
けれど、いざ告白となったら緊張が舞い戻ってきて、顔がカァと火照り始めた。
当然、そんな私の変化を誉くんが見逃す訳がなく。
「華恋ちゃん?どうしたの?」
「……いや、あの、」
誉くんが不思議そうな表情をしながら私の顔を覗き込んできた。