「お前は幾度となく六月一日を繰り返した。……そうでしょう?」

「っ!」


 この子……僕が何度も六月一日を繰り返していること、知っているの?!

 今まで何度も六月一日を繰り返してきたけど、そんなふうに言ってくれる人はいなかったというのに。

 彼女は本当に……時空を司る神様、なんだろうか?


「……ごめんなさい」

「……え?」


 突然の謝罪に、僕は思わず聞き返した。


「何かの不注意で、お前を六月一日に閉じ込めてしまっていた。早く助け出そうとお前を捜していたのだが、見つけ出すまでこんなにも時間がかかってしまった……」


 僕が六月一日から出られなかったのは、目の前にいる彼女のせい。

 でも、彼女はずっと僕を捜していたんだ。僕を六月一日から抜け出させるために。六月一日から助け出すために。


「じゃあ、僕は六月一日から抜け出せるの……?」


 問題はそこだ。

 確かに、ずっと六月一日から抜け出せなくて、怖くて心細くて……取り返しのつかないことを何度も犯した。

 でも、ちゃんともとの日常に戻れるのなら……彼女の不注意なんて、許せると思ったから。


「そのために捜していたのだから、当然でしょう?」


 嘘じゃ……ないんだよね?僕は六月一日から抜け出せるんだよねっ?!