「ひぃっ?!」


 いつの間にか彼女は僕のすぐ目の前に立っていて、透き通るような青色の瞳で僕を見つめていた。

 彼女の身体を覆う神々しい何かが、彼女は人間ではないと僕に錯覚させているのかもしれない。

 変に緊張してしまって、思うように物事を考えることが出来ない。


「やっと、つかまえた」


 彼女が放つ声音は鈴のようにか細くて、だけどちゃんと芯があって……どこか威圧感があった。

 無感情、または無機質を思わせるようなその声に、戸惑いを隠せない。


「あ、の……」

「なに?」

「君は、だれ?」


 「何者?」と尋ねていいものかと悩んだ僕は、そう問うていた。彼女はスッと目を細めると、言う。


「私は……時空を司る者。あなたの世界で言うところの“神”」

「か、み……?」


 え?かみ?神?ちょっと待ってよ、彼女の言っている意味が分からない。

 神って……あの神様だよな?え?その神様が……目の前にいる彼女……?

 ……よかった。すでに僕以外で頭のおかしな人がいたよ。彼女は寝ぼけているのかな?それとも、本気で危ない人かな?なんにせよ、あまり関わりたくはないなぁ。

 でも、なぜか足はカクカクと震えていて、逃げるどころか歩くことすら出来ない。

 ……これは、彼女が本物の神だから?いやいや、まさか、そんなはずは……。