シン……と静まり返った部屋。ナイフが刺さった首元からドクドクと溢れ出す、お母さんの鮮血。


「……」


 死んだ。お母さんは、死んだ。殺した。僕が。僕が。僕が……殺した。

 あ~あ……。


「――つまんね」


 もっと面白い反応を見せてくれるかと期待したのに、呆気なく死んじゃってさぁ?ホント、つまらない。

 やっぱり、刺した場所が悪かったのかなぁ。違う位置に刺して、じわじわと殺していった方がよかったのかなぁ……?反省、反省。

 1日を終えたらまた今日が始まるんだし、遺体はこのままでもいいや。

 今日は何をして過ごそうかなぁ。

 お母さんの首元に刺さっているナイフを引き抜いた僕は、器用にくるくると回しながら、街へと繰り出した。

 道中、その血染めのナイフを見た人々がギョッとしていたのが面白くて、思わず笑ってみせると、人々は逃げるようにして去っていってしまう。

 なんだよ……。そんなにあからさまに逃げなくてもいいじゃないか。別に君達を殺そうっていうんじゃないんだからさ。無駄な体力は使いたくないしね。臆病者だなぁ。あはは。

 ――それに、どうせ殺すなら、アホみたいに真っ正面からじゃなくて、こっそりと背後から忍び寄って殺っているっての。