ギャップ彼女 1

俺は薄々気づいていた。



リンが苛められているだろうという事を。
同じ教室にいるのだから当然と言えば当然なのだけど。


女達がリンを見て何やらコソコソ何か言っているのに気付いた。
おそらく、俺が気づかなかっただけで、実際はもっと色々やられてしまっていたに違いない。



でも、俺は何もできなかった。
生徒会の中でリンに一番近い場所にいるのにも関わらず。



リンの事をコソコソ言っていた女達が俺に、ワザとらしい甘い声を出してくる事にも心底嫌気がさしていた。


クスクス笑いながらリンを見ている女達に、ちゃんと注意をすればよかった。




何もできなかった俺は、自分にも腹がたった
自分が情けなくて仕方がない。




リンはあいかわらず、教室では無表情だった。俺は、リンのその姿を見ると無性に悲しくなった。





でも最近のリンは、生徒会室では色々な表情を見せるようになっていた。



それがたまらなく嬉しかった。
多分みんなも同じ気持ちだろう。