ギャップ彼女 1

『…悠斗』


重なる胸に手を添えて押しているのだが、ギュッと抱きしめられているので離れる事ができない。



『ゆ~う~と~』



何度か離れようとチャレンジしてみるものの、一向に離してくれない悠斗。
マジでどうしたのさ…。



それより、今何時だろう?
バイト遅れちゃうじゃん



『悠斗。私、バイト遅れちゃう~』



私が、そう言えばやっと離してくれた。
しかし離れたと思ったら「行くぞ」と私の右手を引っ張ってズンズンと歩きだして…




『ちょっ…ま…って…』



そんなに早く歩かないでよ!
まぁ、確かに時間がないけどもさ。




「リン!!また連絡する!!」

『分かった~奏、じゃ~ね』




後ろから奏の声が響いたので、振り返り手を振った。奏の表情は、ここからは見えない。




しかしその直後、前からチッと舌打ちが聞こえて…




何で怒るのよ~
悠斗が分からない。