ギャップ彼女 1

朱里の応援するって約束した。
大好きな朱里。



きっとあの時聞いた言葉は本心じゃないよね?



私は朱里を信じるよ…
大好きな朱里と奏が、上手くいけばいい。





ーーそれでいいんだ…





奏も、私に抱きつきながら辛そうだ。
きっと、私が離れればいいんだ…



奏は何かを迷っている。
何がそうさせているのか分からない。



ただ私がいなければ、奏もこんな辛そうな声をださないのでは?



このまま私が、好きだと伝えれば奏を困らせてしまう気がする。




そう思ってしまった。



だから






私はーー……






「かなで…ごめん」



私がそう言いながら、重なり合う胸板にそっと手を添えて体を引き離せば、すんなり離れた。




私を見つめる奏の悲しげな瞳にズキズキと胸が痛む。





"私も、奏が好きだよ。"




その言葉を本当は伝えたかった。




もう一度『…ごめんね…』と呟き、逃げるように走り去った。





ギュっと唇を噛んで、必死に涙がこぼれないように耐えた。











家まで走り自分の部屋に入った瞬間、涙が溢れてきた。しかし、いったん涙がこぼれ始めると歯止めがきかなくなるわけで。





その日一日中泣き続けた。