「だけど段々、陸が苦しそうに見えて、兄として変わってやるべきだって思って、今までの陸以上に勉強を頑張った。」
陸も渚さんも、頑張って自分の意志で動き始めたんだ…
「こんなふうに言うとなんか…弟想いの良い兄って感じたけどね。実際もっとずりぃ奴だよ俺って。でも、俺だって継げて嬉しいし、陸も幸せならそれで良いなって一人で解釈してる。…陸はどう思ってるか知らねぇけどな」
「渚さんは、ずるい奴なんかじゃないです…」
今日会ったばっかの初対面のやつに何がわかる？、って感じだけど……、でも
「陸の事も、ちゃんと考えてくれてたから…自分だけじゃない、他人の事も考えて行動できる人って、ずるい奴じゃないです」
「………」
「それに、陸だってきっと渚さんの事尊敬してると思います。」
「尊敬………か。嫌われてんのかなとも思ったけど…」
「え？」
「陸が、“東堂”から“神崎”にした理由知ってる？」
神崎にした、理由……？
