蓮見さんが差し出したのは
先程調理実習で作ったクッキー






様々な形に型どられたそれは
甘い香りを漂わせている






「え、俺がもらっちゃっていいの??」







予想だにしていなかったことに
片平くんは驚いていた






「結構上手く焼けたから
 味は大丈夫だと思うよ?」






まさか自分が学校のアイドルから
手作りのクッキーをもらうなんて








「これじゃあ足りないかもしれないけど 
 何も食べないで部活するよりは
 いいよね、きっと」








優しく笑うその姿に
思わず見とれてしまった







「それじゃあ、またね」






自分の手にクッキーを乗せると
手を振り蓮見さんは去っていった








その後ろ姿が見えなくなるまで
片平くんは見送った