「…どなたですか?」





目を覚ますと知らない人





目をこすりながらゆっくりと
体を起こした





「2年の水沢」





「あ、蓮見です」






これが最初の会話






それから学年が変わっても雨の日になると
決まって蓮見は図書室で寝ている
そして隣にはいつも水沢が座っていた






「あ、水沢先輩…」






昼休みが終わる10分前
蓮見が目を覚ました






「おはよう、蓮見」






隣で小さく欠伸をする蓮見に
微笑む水沢





「そうだ、これやるよ」





水沢が差し出したのは
小さな包み





「何ですか?これ」






「チョコ、もらったからやる」






水沢の言葉にぱーっと顔を緩ませ 
満面の笑みで受け取った





その笑顔に水沢の顔も赤く染まった





さっそく中から一粒チョコをとり
口に入れる





口内に広がる程よい甘さに
緩む頬を抑えられない蓮見さん






「上手いか?」





「はい!



 …あ、食べますか?」







蓮見さんは一粒チョコをとり
水沢の口元に運ぶ