その夜、ダグラスがリフを連れて外に行こうとしていた。時々二人で外出する事はあったけれど、今日は明らかに様子が変だった。
ダグラスの後を付いて行くリフは両手を縛られ、目隠しされていた。ダグラスは手に薪割り用の斧を持っていた。
『姫のご命令通り、首を刎ねてまいります』
恐ろしい事を冷静に告げるダグラスに血の気が引いた。
『待って、ダグラス! 違うの、あれは』
『今更何を仰います、姫』
冷ややかな声で私に言葉を返したのは、ダグラスではなくリフだった。
『私の首を刎ねろと仰ったのは姫御自分ですよ』
違うの、そうじゃないの。本気で言ったんじゃない、ただリフに名前を呼んで欲しかっただけなの!
そう言おうとするのに喉が凍り付いて声が出ない。
ゆっくり口端を上げてリフは笑った。
『さようなら、姫』
声が出ないまま私は立ち尽くしていた。二人は出て行き、鍵が閉められた。縺れる足で裏口に向かい、何とかして扉を開けた。
月明かりの下、リフの首めがけて今にも斧を振り下ろそうとしているダグラスがいた。
待って、お願い、止めて、
「――――!」



