空の誓い、海との約束

「木の葉は森に隠せと申します。成人まで一歩も外に出ないほうが怪しまれるでしょう。両親を失った少女エマが島に越してきて、少しずつ元気を取り戻していく。その筋書きを周囲に知らしめ、妙な噂が流れないようにするために連れ出しました。それに」

 言いかけて急に押し黙ったリフに、マリーが優しく問う。

「それに?」

 かなりの間の後、リフは俯いたままぽつりと答えた。

「……知っていただきたいのです」

 リフの声はどことなく切なく聞こえた。そう、綿飴を買ってもらった時と同じ様に。

「御自分が治める民の生活を、姫御自身の目で見て頂きたいのです。美しい景色も、薄暗い日陰も。楽しい事も、悲しい事も。心の綺麗な人々も……息苦しいほど醜い現実も」

 マリーはそっとリフの手を取った。俯いたままのリフの横顔は、王宮に居た頃の様に無表情だった。

「色々考えてのお忍びだったのね」

 頷きもせず、リフは無表情のまま黙っていた。見ようによっては何かを堪えている様にも見えた。