空の誓い、海との約束

「お前な、無口過ぎるのも大概にしろ」

 彼は困ったような表情で反論する。

「別に無口ではありません。話すべき事が無いので黙しているだけです」

「同じ事だ。もう少し気を遣え、朴念仁」

 ぴしゃりと切り返すダグラスに、リフはしょんぼりと頭を下げた。

「……申し訳ございません。努力致します」

「全く、お前には話術の心得も叩き込んでおくべきだったな」

「あら、寡黙なのもリフの良い所ですよ」

 お茶の準備をしてくれたマリーが笑いながらリフのフォローをする。ダグラスはふんと鼻を鳴らして苦言を吐いた。

「全く。マリーはリフに甘過ぎる」

「そしてダグラス様は手厳しい。二人合わせて丁度良いでしょう?」

 おっとりと言いくるめるマリーに太刀打ち出来ず、険しい表情をしたダグラスは黙ってカップを手にした。その様子を、リフは困った顔で見ている。

「リフ、困ってる?」

「はい、とても」

 大真面目な顔で正直に答えるリフが可笑しくて、私は声を立てて笑った。

 お父様を亡くしてから初めて、久しぶりに心から笑った。