空の誓い、海との約束

「シエル様。起きていらっしゃいますか」

 付き人かと思ったら、女の人の声がした。誰だろう、こんな時間に。

「起きてます」

 そう答えると、扉が開いて女の人が入ってきた。腕にタオルを掛け、手には小さなたらいと箱を持っている。

 その後ろから、僕を見張っている王宮警備の人が付いてきた。厳つい顔のせいか、浅黒い肌に黒い制服を着込んでいるせいか、ちょっと怖い。

「僕に、何か?」

 泣いてた事に気付かれたくなくて、声が震えないよう気をつけながら僕は尋ねた。母より幾らか歳上だろう女の人は、一礼してから僕のそばに来て足元にしゃがんだ。

「シエル様のお手当てをするよう警備の者に頼まれて参りました」

「手当てって……掌の?」

「いいえ」

 刹那、僕はタオルを巻いた右腕を後ろに隠した。この歳で未だ折檻されてるなんてばれたら、恥ずかしい。

「悪戯が過ぎるので軽く折檻した、と御付の方が言っておられましたが、シエル様が随分痛がっておいででしたので」

 警備の人が心配そうに僕を見る。あいつ、余計なこと喋りやがって。