空の誓い、海との約束

「今まで本当にありがとう、アスター」

 泣かせるための台詞じゃなくて、これは本心。まあ、結果として涙腺決壊させちゃったけれど。

「そうだ、アスター。例の件どうなった?」

「昨日、店主のセルヴィ・タリクトラム氏に託して参りました。御好意を有り難く拝受し、シエル様の意志を継がせていただきますと彼は申しておりました」

 ペルビアナでの財産放棄に伴って、その処理をアスターに頼んでいた。

 国庫に返還する分以外のいわゆる小遣いに相当する分は、今後の綿飴プレゼントの為に使ってくれるようセルヴィに託すことにした。

「これをタリクトラム氏から渡されました」

「ありがとう」

 受け取って開く。急いで書いたのか、かなりの達筆だ。

 華美な言い回しは無いものの、温かい祝福の言葉が綴られている。思わず顔が綻ぶ。

『エミリア女王陛下とシエル殿下の御多幸をお祈りしております』

 最後のその一文。『お嬢様』という文字に二重線が引かれており、その上に『エミリア女王陛下』と訂正して書かれていた。

 最初に書かれた堅苦しく無い表現がセルヴィらしい。