空の誓い、海との約束

「……シエル様は何故、リフの気持ちを陛下にお伝えになったのですか」

 僕の手に自分の左手を預けたまま、マリーは顔を上げて尋ねた。その問いに、僕は真っ直ぐに答える。

「彼の想いを、海に沈めたままにしたくなかったから」

 マリーは僕を見つめた。

「誰かを想う気持ちに貴賤は無いって、僕はそう思うから」

 そう言って、僕は綺麗な翠の瞳に微笑みかけた。新たな涙がマリーの目から溢れだす。

「陛下の伴侶となられるお方がシエル様で、本当に良かったです」

 そう言ってもらえて、僕も嬉しかった。僕が立ち直るきっかけをくれたのは、マリーだから。

「初めてマリーに会った時、僕は自分なんか消えちゃえば良いのにって思ってた。僕は、マリーのおかげでここまで立ち直れたんだよ。あの時、マリーが僕と同じ瞳の彼の話を聞かせてくれたから」

 マリーの手を握って、僕は改めて感謝する。

「ありがとう、マリー」

 再び泣き出したマリーを慰めていると、エミリア様がダグラスと戻ってきた。僕達二人は立ち上がって彼女を迎える。