空の誓い、海との約束

「私が王家を継承することを快く思わない人達が居たことは先に話したわね。成人して本国へ戻る時も、私は命を狙われていたの」

「命を……」

「私達を船諸共沈める計画があってね。リフは自分を犠牲にしてその企みを食い止めてくれた。彼は私達の代わりに、海に――」

 それ以上、陛下の言葉は続かなかった。目の端に、ダグラスが寂しげに視線を落とすのが見えた。

『良い子でした。陛下にも忠実にお仕えして』

 陛下にとって彼は、命を賭して主君を護った忠実な臣下であり、初めて恋した愛しい人でもあった。

 じゃあ、彼にとっては? 陛下は次期女王としてしか見てもらえなかったと言うけれど、彼にとって陛下はそれ以上の存在だったのではないだろうか。命を賭けて護ろうとするほど、大切な。

 僕は陛下の右手を見つめて言った。

「その指輪、街で会った時にも着けておられましたね」

「あら、覚えててくれたのねシェリフ」

 悪戯っぽく笑んだ後、陛下は大切そうに指輪に触れた。

「七つの時、リフと出掛けた開港記念日の時に屋台で見つけてね。夕陽みたいで綺麗でしょう? でも、どの指にも大きすぎて。それでも諦められなくて私がずっと見ていたら、彼が買ってくれたの。大人になったら合う様になるからって。もう今では小指にしか合わないのよね」

 彼がくれたおもちゃみたいな硝子の指輪を、今でも大事に身につけている陛下はきっと。