──────────
─────────
────────




「っも、本当信じらんないっっ!!!」




「あははっ、災難だったね、お疲れ」




あの後、笑う緋色を殴って屋上を出た私は、丁度昼休みだったということもあり、教室にいた親友のエリカを連れてトイレに手を洗いにきていた。




「もーっ‥‥、洗っても洗ってもまだあのぬるぬるが取れた気がしない!」




「緋色君も、終わったら手くらい洗いにいくか拭くかしなよってはなしだよね‥‥‥っくく」




「‥‥‥エリカ」





「あ、ごめん」



ったく、人の不幸は蜜の味タイプだな、こいつは。








「けどさ、あんたもよく我慢できるよね。私なら辛すぎて無理だわ」





私たち2人しかいないトイレに、エリカの声が響いた。




「‥‥‥」




蛇口をひねって、ひたすら洗っていた手を止めた。









「辛い、よ」






私の乾いた声が、やけに響いた。








「ほんと、毎日平気な振りするのに必死。もうとっくに辛いってレベル越えちゃってる」