新宿にいれば、この街の色に染まる。


 歌舞伎町は相変わらず騒がしい。


 いろんな人間が往来していて。


 悪いヤツらの全面的な摘発は無理だった。


 仕方ない。


 ここで島田と組み、スタンドプレーをやると、まずい。


 だから、いったん矛先を収めていた。


 いずれ後任の刑事がやるだろう。


 水曜は課内庶務で忙しかった。


 膨大な調書を起こすのは大変だ。


 結局、これも年度を越えてしまう。


 島田が、


「トノさん、仕方ないよな。俺たちだって事情はいろいろあるからさ」