第一、こんな大都会にいるからこそ、考える暇などほとんどない。


 それに思っていた。


 気を入れ過ぎても仕方ない。


 何事も程々に、ということだ。


 そう思えば、楽になった。


 島田はまだ当惑しているだろう。


 分かる気がする。


 あの建物は大きいのだから……。


 そして中には人間たちがすし詰めなのだし……。


 緊張感があるから、あえて気を抜こう。


 そう思い、やっていた。


 暇はない。


 新年度に向けて、引継ぎなどもある。